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電話相談員インタビュー(未経験者編)

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一度は諦めた。経験も自信もなかった。

だからこそ伝えたい。「大丈夫、支え合える仲間がいる」

ひろみさん(30代)は、大学卒業後一般企業で経理の仕事を中心に働き、#いのちSOS電話相談で活動するまでは相談員経験はありませんでした。#いのちSOS電話相談の活動は3年半になります。

─── 本日はどうぞよろしくお願いします。さっそくですが、ひろみさんが「#いのちSOS」の電話相談員になろうと思われたきっかけについてお聞かせいただけますか?

はい。実は、私には身近な大切な人を亡くした経験があり、その頃から「将来は同じように苦しんでいる人の力になれたらな」と漠然と考えていました。大学では臨床心理士を目指して心理学部に進んだのですが、当時は自分自身にまだその道に進むことに、言葉にしづらい釈然としない躊躇いがあることに気づき、一度その道は諦めました。

卒業後は一般企業で経理の仕事をしていましたが、心のどこかではいつか「自殺に関わること」をやりたいという思いがずっとありました。最初は専門職としてすぐに活動することには自信がなかったのですが、自分の中で準備が整ったかもしれないというタイミングで、ライフリンクの募集を見つけたんです。ライフリンクが「自殺の社会的イメージを変える」活動を最前線でしており、その理念に共感し応募しました。

─── 実際に相談員の仕事をしてみて感じたこと、考えたことを教えてください。

電話相談員のイメージとしては、当初は「自殺を止めたり、解決策を出したりするもの」と考えていて、自分にできるか心配な部分もありました。しかし、採用試験の段階で「解決策を出すことだけが役割ではない」と教えていただき、そのイメージが大きく変わって、とてもほっとしたのを覚えています。むしろ、死や自殺といった話題をタブー視せず、自由に話せる場所であることに大きな価値があると感じています。

また、この活動を通じて、視野が広がったことも大きな変化です。当初は個人的な思いが出発点でしたが、最近では「SOSの出し方教育」の講師も担当しており、「こどもの『死にたい気持ち』を受け止められる大人を増やしたい」という社会的な視点にも目が向くようになりました。一対一の相談だけでなく、より大きなコミュニティに関わる活動へと、自分の関わり方も発展していっていると感じています。

─── 相談員としての経験は、ひろみさんご自身のキャリアや専門性にはどのような影響がありましたか?

ライフリンクに入職する前は、自分が専門職を名乗っていけるのか、自信がありませんでした。しかし、ライフリンクで相談支援の基礎から教えていただいたことで、少しずつ自信がついてきたんです。

現在は、精神保健福祉士の勉強をしていて、今年度末に試験を受けようと思っています。専門職というキャリアの選択肢が自分に出てきたというのは大きな変化ですね。資格は、それ自体が目的というよりも、枠にとらわれずに、相談者のために必要な知識であれば積極的に取り入れていきたいと考えています。

─── ライフリンクでの働きやすさについてはいかがでしょうか?

物理的な面で言えば、私は夜型の生活なので、夕方以降のシフトを短時間から好きな時に入れられるのは、とても働きやすいです。

精神的な面では、私はライフリンクではリモートワークが中心ですが、孤独感をほとんど感じない珍しい職場だと思います。相談がうまくいかない時や、スランプに陥った時など、しんどいなと感じた時には、仲間やスーパーバイザーの方々に話を聞いてもらえるんです。それですごくスッキリしたり、乗り越えられたりすることが多く、いつも支えてもらっている感覚があるので、孤独感なくやれているのが本当に良いところだと感じています。深夜稼働*はそういった支え合いも強いため、体力的には少ししんどいこともありますが、楽しみにもなっていますね。

(*編集注:一定の到達段階に達していると相談技能評価を受けている相談員については、深夜帯の稼働が可能)


─── 最後に、電話相談員という仕事とは何か、ひろみさんの今後の抱負、そして電話相談員に挑戦してみたいと考えている方へのメッセージをお願いします。

正直、生成AIはすごく優秀で、すぐに本質を突いてくれると思います。でも、電話相談員という仕事には、人間という生きている存在にしかできない価値があると、日々の活動の中で強く感じています。

ある時、相談者との対話の最中に、「自分の悩みを分かろうとしてくれる人間が、この世に一人でもいるかもしれないという感覚は、きっと電話相談でしか得られないものなのではないかと感じた瞬間がありました。AIはどれだけ優れていても、しょせん「生きていない」無機物です。でも、電話相談員は「生きている人間」です。苦しい中でも、自分と同じように「生きづらい」と思っている人が、この世のどこかで生きているかもしれないと感じることは、大きな救いになると信じています。

言葉を尽くさなくても、「一人じゃないんだ」という感覚は、そこにただ「人間がいる」という存在感だけで伝わることがあると思います。これが、AIとの大きな違いなのかな、と。

私の今後の抱負としては、言葉を尽くさなくても、存在するだけで全てを包み込むような相談員になることです。70歳くらいまでには、そのような相談員を目指したいですね。

電話相談員に挑戦してみたいと考えている方には、ぜひ仲間になってほしいと伝えたいです。ライフリンクでは、未経験の方でも手取り足取り教えてもらえる環境があります。ここではゼロから学び、自分の信念や持っているものを活かしていくことができます。未経験の方こそ挑戦しやすいと思います。「自殺」という課題に真剣に取り組みたいという方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。

─── ひろみさんは、ご自身の未完了の課題と適切に向き合い、自分ができることを着実に増やして、誰に対しても誠実に偽らずに向き合っていこうとされています。だからこそ、存在するだけで相談者に安心感を感じられる相談員になりたいという、深い思いにつながっていると納得させられました。また、電話相談員の活動を通じ、専門職としてのキャリアやご自身の使命を明確化されていることに対しても、とても頼もしさを感じました。原体験のことも含め、お話を聞かせていただきありがとうございました。

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